DAY11 インド、ニザムディン→アグラ
朝から詐欺師に騙されかけたお陰?で天使のような女性に出会った。
天使のお陰で、なんとか、アグラに向かう列車に乗っている。
ついさっきの話。
アグラ行きの列車を乗り過ごしてしまった僕を見かねた女性が、見送りの列車に乗っていた妹と弟に「彼をアグラまで一緒に連れて行ってあげて」と言ってくれた。
列車内は、左側が二段ベット、右側が横一列の座席になっている。

二段ベット
一緒に相席させてくれた姉弟と僕は、横一列に並んで座っていた。
僕「ありがとう、本当に助かりました」
弟「大丈夫です」
いきなり相席させてもらって、ありがたいけど、申し訳ないって感じ。
お互い微妙な空気が流れる。
素朴で、純粋そうな2人。
年齢は、弟が20歳くらい、お姉ちゃんが24.5歳ってところ。
弟は少し英語が話せるみたいなので、お互い片言で会話。
僕「日本から来ました」
弟「自分たちはインドに住んでいるけど、故郷はカトマンズだよ」
地名は忘れてしまったけど、これから仕事ですごく遠いところへ行くみたい。
お互い、少し話しては沈黙。
少し話しては沈黙。
そんなことが何度か繰り返されて、長い沈黙が続いた。
ん~、なにか良いコミュニケーションないかな・・・
考えて思いついたのが「日本の写真」だった。
日本の桜、お城、自分の家族や友人、色々な「日本」を紹介した。
2人はとても興味津々に喜んでくれた。
そして、彼らも自分たちの故郷の写真を僕に見せてくれる。
お互いのこと、お互いの国のこと、、、尊重しあうことで、とても心地良い時間が流れる。
出会って、数十分なのに何とも言えない居心地の良さを感じる。
柔らくて暖かい空気に包まれた、ふわふわと夢の中にいるような時間。
昔から知っていたような。
今思い出しても不思議な感覚。
言葉は通じないけど、もっと仲良くなりたいっていう気持ちが通じ合う。
何の見返りもなく、純粋に。
そんなほっこり気持ちいい時間が流れて、お昼になった。
すると、弟くんがカバンから豆を煮たような食べ物とパン?を出してきた。
「食べていいよ」
インドでお腹を壊したくないから極力、何も食べずに過ごしてきた。
そこに来て、手作り感満載の謎の料理。
正直、少し躊躇した。
でも、お腹を壊してもいいと思った。
「ありがとう」
言葉は通じないけど、純粋な優しさが心に染みる。
車窓から見える、インドの田舎の風景を眺めながら涙が出そうなのを堪えた。

良く見ると犬が川で涼んでいる。
ゆっくりとした時間が過ぎ、2時間半ほどでアグラに到着した。
「また会おう、必ず」
弟と固い握手。
そして、お姉ちゃんとも握手。
忘れないでね、の意味を込めて、着けていた革のブレスレットを渡した。
すると、お姉ちゃんも自分がつけていたブレスレットをくれた。

これも宝物。だけど帰ってきてから無くした時期有り。見つけた。
もうあかん、泣きそう。
ホームに出ると、弟くんが言う。
「一緒に写真を撮ろう!」

宝物。良い表情してる。
いつも、こんな表情でいられる人生を生きたい。
この写真と、彼らとの友情は、世界一周で得た宝物だ。
いつか、必ず彼らの故郷カトマンズを自分の目で見に行く。
また夢という名の目標が一つ増えまちた💗