DAY11 インド、ニューデリー→アグラ
朝5時に目が覚めた。
そこから出発の準備をして、7:00前にチェックアウト。
今日は、これからニザムディンという駅へ移動して、電車でアグラに移動。
タージマハルなどを見て周る予定だ。
電車は、8:10発。
ホテルに、「アグラに行くから、荷物を夜まで預かってもらえないか」とお願いしたら、快くオッケー。
荷物少なく観光できるのはとても助かる。
感謝だ。
ついでにスタッフに聞いてみる。
「ニザムディンまで移動したいんだけど、どうすればいい?」
するとホテルスタッフが、外にいた一台のオートリクシャーに声をかけてくれた。
150ルピーで行ってくれるとのこと。
すると、一人のイカつくて声も態度もでっかい変なインド人が何故か同乗してきた。
なんで??
ま、出発。
男「どこまで行くんだ!?」
僕「ニザムディンから電車に乗ってアグラに行く」
男「チケットは買ったか?」
僕「買ってるよ、これ」
ニザムディンの駅からアグラまでは「ガッディーマエクスプレス」という電車に乗って移動する。
そのチケットを見せた瞬間、男が叫んだ。
男「このチケットは使えないぞ!!!」
僕「なんで!!?」
男「お前はツーリストだろ!!?このチケットはインド人用だぞ!!」
なんてこった・・・
ここに来て、痛いミスをしてしまった・・・
すると、いかついインド人がすかさず言う。
「とにかく大変だ!あと3000ルピー追加してツーリスト用のチケットに変更しないと乗れないぞ!!」
まじか・・・
「どうすればいい??助けて欲しい」
藁をもすがる気持ちで男に言った。
すると男は、僕の肩を抱いて優しくこう言ってくれた。
「大丈夫、俺が君を助けるから。急ごう!とにかく300ドルを俺に渡せ!」
僕「ドル??」
男「あ、違う!3000ルピーだ!!」
しかし、2000ルピーしか持ち合わせがないと伝えた。
よし、運転手!!ATMへ急げ!!
てことで、ATMへ。
しかし、なぜか、お金が下せない。
すると男が運転手に言う。
「別のATMへ移動するんだ!!急げ急げー!」
とにかく声がでかい。
その道中も、男は肩を抱きながら言う。
「大丈夫、俺が君を助けるから」
見た目はもう一つやけど、良い人や。
インドの地で、こうして助けてくれる人が居て本当に良かった。
次のATMへ到着。
男が言う。
男「よし、お金だ!!急いで!!8000ルピーだぞ!!」
僕「オッケー!!」
・・・8000??
僕「ちょっと待って。8000なの??」
男「8000??違う!3000だ!!」
ん?
聞き間違えたか?
いや、完全に8000って言うたよね?
300ドルって言うたり、8000ルピーって言うたり、こいつもしかして悪い奴?
なんか、朝から進藤トラブル、なんかどうでもよくなってきた。
僕「もうお金ないから、帰ってくれ。アグラは諦めて、デリーを旅するから」
男「なぜだ!?じゃあ2000ならどうだ!?」
2000に値下げ?
インドの電車代って、あんたのさじ加減で値段下がるの?
僕は、人を信用しやすい。
しかし、さすがに不信感が顔を出し始める。
こいつ、もしかして騙してる・・・?
僕「ホテルへ帰ってくれ」
男「だめだ!カードは持ってないのか!!?」
もちろん持っている。
でも、この時すでに7:40を過ぎていた。
僕「いや、もういいから、ホテルへ帰って」
男「だめだ!カードを持って旅行会社に行こう!」
こんな朝からやってるとこあるわけ・・・
…開いてた(笑)
てことで、引っ張られるように入店。
店員に事情を話すイカツいインド人。
店員の顔を見てると、どうも知り合いじゃないみたいだ。
店員「このチケットは使えない、諦めて車でアグラを回るツアーにした方がいい」
僕「車のツアー?いくらなの?」
店員「15100ルピー」
15100ルピー??
アホか・・・
あかん、だんだんムカついてきた・・・
この状況はどう考えてもおかしい。
不自然や。
すでに8時前
電車は8時10分出発だ。
もう終わりやな。
そう思っていると男がでっかい声で言う。
「行こう!2000で行けるか駅で聞いてみよう!トライしてみよう!」
駅で聞くなら、信用できる。
ここまで来たし、こいつを信じて行くか!!って感じで2000ルピーを渡した。
駅に到着。
男「よし、オートリクシャーに500を払え!」
僕「500?? いやいや、150や!」
男「あ、そうか。すまん!150!150!」
時間はすでに8:10過ぎ。
男が、電光掲示板を確認して叫ぶ。
「よし!!5番ホームだ!!急いで行くんだ!!行ってこい!!」
・・・・・???
は?
・・・・行ってこい??
俺「いやいや、2000ルピーを返さんかい。お前のポッケに入った2000ルピーは俺の金や」
男「あら?2000??あれ!?車かな??」
白々しい小芝居。
なんやこの小芝居は?
怒りが込み上げてきたが、時間が無い!!
男の手を取り、一緒に来い!!って言って窓口へ走り出した。
窓口で、チケットの説明をさせた。
すると窓口の人間が無表情で言った。
「乗れるよ」
はい、しばく。
その直後、でっかい声で男が叫んだ。
「乗れるぞ!!5番だ、急げーー!!!」
ここで確信。
こいつ、ダマしよった。
くそ、詐欺師めが!
一気に体が熱くなる。
しばく。
こいつ、しばいたる。
マジで許されへん。
「お前コラーー!!!騙したんかい!このチケット使えへんって言うたやないか!使えるってどういうことや!なんでや!!なんで使えへんって言うたんや!!」
男の手を引っ張りホームへ走りながら、大声でキレる僕。
インド人も、みんなびっくりするぐらい関西弁ででブちぎれまくった。
相手も、「こりゃまずい、えっと~~~」て感じ。
でも、とにかく時間が無い。
もっと、言いたいとこだけど、くそー!って言いながら、ホームに向かってダッシュ!
その後ろから男が叫ぶ。
「ゴーゴー!!5番だ!!ゴー急げー!!」
なんやねん、その優しさ(笑)
ホームに到着したけど、電車がわからない。
そこに小柄な女性が、見送りをしていた。
電車の中には、妹?のような女の子が乗っている。
「すみません!!このチケットの電車はどこですか!!?」
すると、急いだ様子で女性が言う
「オッケー!!聞いてあげる!!」
しかし、電車はどうも出てしまったみたいだった。
力が抜けた。
僕は、しゃがみ込んでしまった。
旅に出てから、タイ、マレーシア、インドと騙されたり、ボッタくられたりの連続で自分の甘さと、そんな状況や人に対する悔しさが積もっていたんだと思う。
いい年して、泣きそうになった。
すると、その姿を見たお姉さんが、電車の中の妹に言った。
「彼を一緒にアグラまで連れて行ってあげて」
そこに、弟も現れた。
そして、弟にも
「彼を一緒に」
天使だ。
列車は違うけど、大丈夫みたい。
僕「え?チケット無いけど大丈夫??」
弟「大丈夫、このシートに座って一緒にアグラまで行こう」
優しさが心に染みた。
こっちに来て、わずか10日ほどで、何度もボッタくられたし、最後に「お金」が出て来てウンザリしてた。
今回こそは大丈夫!と信じた人も、結局は僕から「お金」をだまし取ろうとしてた。
怒りとショックが積もってた。
確実に。
でも、見返りの無い優しさに触れた時、泣けてきた。
優しさが本当に心に染みた。
自分もそうでありたい。
真っ直ぐで、優しくありたい。
本当に素敵な人達。
心から感謝。
自分もこの優しさを誰かに与えよう。
ここで、笑顔でお別れしたいから、手にSMILE(^^)って書いて、お姉ちゃんに見せた。
笑顔でお別れ。
この後アグラまでの2時間半、人生の宝と思える時間を過ごすことになる。
もう、今思い出しても泣けてくるわ。