DAY10 インド、ヴァーラーナシー
今日は、朝から奇跡の体験をした。*過去ブログ「ヴァーラーナシーの奇跡」
最高の朝だった。
最高。
あ~、最高。
さて、シンガポールを出てから、まともな食事を採っていない。
お腹はペッコペッコを通り過ぎて気持ち悪くなっている。
でも、完全にインドの食事を信用せず、下痢にビビりまくっている僕。
これから飛行機移動が続く。
自慢じゃないが、小学校の頃からうんこを漏らすのはわりかし得意な方だ。
機内で異臭騒ぎを起こすわけにはいかない。
万が一、隣が美女だったら死んだほうがマシだ。
しかし、このゲストハウスで宿泊している日本人旅行者は下痢をしていない様子。
「もしかして、ここの食事は安全かもしれない」
ペコペコに勝てず、朝食を注文。
ゲストハウスにいるインド人スタッフが作ってくれる。
注文すると、無表情で調理開始。
「お手々は洗ったか?」
心の中でつぶやく。
パンとスープと目玉焼き。
おー、めっちゃうまい。
ナマステ。
見る限り、手は洗ってなかったけど、旨いぞ!インド人スタッフ。
部屋に帰ってシャワーを浴びながら、溜まった洗濯物を手洗い。
この時も、歯磨きはミネラルウォーターという徹底ぶり。
本気のバックパッカーが聞いたらキレるだろう。
さっぱりしたところで、ここに来たら絶対に見るように言われていた所へ行くことに。
そう、火葬場だ。
ここ、バナラシにはいくつかの火葬場があって、ヒンドゥー教徒はそこで焼かれてガンジス川に流される。
火葬場といっても日本のような建物ではなく、川岸にキャンプファイヤーのように薪が組まれてるだけ。
そこに遺体が運ばれてきて焼かれる。
という、とても原始的なものだ。
出発。
火葬場の前に、とりあえずATMだ。
全く金が無い。
歩き出してすぐにインド人の少年が話しかけてきた。
少年「お兄さん、日本人?」
僕「そうだよ」
少年「僕、日本人好きだよ~、お兄さんマリファナいらない?」
僕「いらん」
少年「じゃあ、どこ行きたい?僕が案内してあげるよ~」
僕「いや、もうええからノーノー」
とにかく、どうにかお金をもらおうと必死だ。
それにしても、日本語がとにかく流暢で驚く。
僕「なんでそんなに日本語上手いの?」
少年「こうやって日本人に声をかけながら覚えたよ~」
いやいや、天才やん笑
すんごい能力やで、君。
自分では気づいていないかもしれないけど、凄すぎる。
ペラッペラだ。
僕「ATMはどこにあるの?」
少年「ATM?今日は日曜だからやってないよ~」
僕「うそやん!!!お金ないからめっちゃ困るやん。どうしよ・・・」
少年「大丈夫、任せて!日曜でもやっているATMあるから案内してあげる」
なんかはめられてる気がするけど、仕方ない。
僕「オッケー、じゃあ、お願い」
そこから、3つほどのATMを回ってやっとお金をおろすことが出来た。
一安心だ。
僕「ありがとうね~」
そう言って、火葬場へ行こうとすると
少年「お兄さん、少しでもいいからお金欲しいよ」
やっぱり、そうなるよね。
ま、いいかって感じで100ルピーを渡した。
少年「お兄さん、これじゃあ、ジュースも買えないよ~、ドル無いの?」
お~、なんやねんこいつ、めっちゃ求めてくるやん。
めんどくさいからあと100ルピー渡す。
それでもブツブツと文句を言っている。
もう、めんどくさいので500ルピー渡して消えてもらった。
インドは、とにかく金金うるさい。
ガンジス川沿いのガートを火葬場へ向かって歩き出す。
そこには、バナラシの日常風景がある。
川で洗濯する人、歯磨きする人、沐浴する人、水浴びする人、物売り、船を掃除する人、遊ぶ子供たち、お祈りする人・・・
もー、なんて表現すればいいのかわからないけどハチャメチャ。
まさにカオス。
そんな風景を見ながら、ひたすら歩く。
とにかく暑い。
少し歩いただけで、汗が滝のように止まらない。
Tシャツはビショビショ。

水足りへん。
火葬場に到着した。
僕が到着したときには、煙は上がっているけど、遺体は灰になっていた。
と思う。
少しだけ残っていたかもしれないけど。
近くの石階段に座って、その煙をぼーっと見ていた。
人は最後には灰になるだけ。

火葬場。
旅に出る前に言われたおかんの言葉が頭に浮かんだ。
「人生一回、後悔せんようにな」
すると、80歳くらいのおじいさんが英語で話かけてきた。
「そこは、遺族が座る場所だからダメだよ」
分からず座ってしまってたみたい。
謝って移動する。
おじいさん「日本から来たのか?」
僕「はい、日本から来ました」
おじいさん「こっちへ来なさい」
付いて行くと、なぜか火葬場の横に建てられている5mほどの塔?みたいな建物の頂上に案内してくれた。
火葬場を上から見下ろせる。
「ここに座りなさい」
特別な場所に案内してもらったみたい。
なんだか、恐縮した気持ちでおじいさんの隣に座った。
おじいさん「この火葬場は、自分たちが代々守ってるんだよ」
僕「え、そうなんですか!?」
おじいさん「あそこにいるのが息子たちだ」
このおじいさん、火葬場を受け継ぐ人らしい。
なんか、すごい人にすごい所へ連れて来てもらってるやん、俺。
かなり興奮していた。
そこから、おじいさんは色んな話を聞かせてくれた。
バナラシのこと、ヒンドゥーのこと。
死者はこの火葬場で灰になって、ガンジスに還っていく。
そして、また蘇る。
でも焼かれない人もいる。
事故で亡くなった人、幼児、妊婦、蛇に噛まれて亡くなった人などは、布に包まれてそのまま川に流されるらしい。
そして、最後におじいさんが言ってくれた。
おじさん「君にも必ず良いことがあるよ」
僕「ありがとうございます」
そう言って、立ち上がるとおじいさんが言う。
「この火葬場は寄付で成り立っている。気持ちで良いから、寄付してもらえないかな?」
驚いた。
そんなことも知らずに帰ってしまうところだった。
「もちろんです!」
そう言って、100ルピーを渡した。
ん?
おじいさん?
完全に、無表情でこちらを見つめたまま動かない。
そして、一言。
「ノー」
のー??
何が?
はっ!!
僕も大人だから察した。
少ない?ってことか!
そう、寄付とは言えども100ルピーは失礼過ぎたか。
申し訳ない。
そう思いながらあと100ルピーを渡した。
しかし、おじいさんは引き続き無表情だ。
「ノー」
のー??
ほほ~、まだノーってか。
寄付が足りないと?
まー、神様にかかわる話。
ケチるつもりはありませんよ、私も。
「ソーリーソーリー」
そう言いながら100ルピーを追加で渡した。
するとこのじじい、失礼、おじいさんため息をつきながら一言。
「ノー、500」
いやいや!!値段指定してもうてるやん!!
気持ちとちゃうんかい!!
なんやったら、イライラしてもてるやん!じじ、いや、おじいさんよ~う!!
そして、気持ちのこもっていない200ルピーを追加で渡した。
「ありがとう」
おじいさんは満面の笑みだ。
なんや、それ。
結局、金かい!!